菊 水 祭


 この祭りは栃木県宇都宮市にある二荒山神社の祭礼行事に行われるものです。江戸時代には数十台の山車が巡行し、諸国御祭礼番付などによると神田祭や山王祭と遜色のない、盛大な祭りだったと伝えられています。山車や屋台など、合わせて81の出し物が繰り出した様子が絵巻にも記録されています。明治に入ると戊辰戦争での焼失や、他の地域への売却で衰退し、山車・屋台の本格的巡行は昭和9年で途絶えました。そして第2次大戦の宇都宮空襲での焼失で、古くからの山車・屋台は4台にまで減ってしまいました。それでも戦後まもなく復活した流鏑馬(やぶさめ)と鳳輦の渡御は脈々と続けられています。

 平成23年に火焔太鼓の装飾部分が良好に残っていたので、町づくり推進の意味を込めて山車の復活を目指していきました。広く募金を集い、目標を2000万円にしました。最初はなかなか集まらなかったようですが、個人や地元企業を中心に募金が増えていき、文化庁の補助金等を合わせて目標を達成しました。山車巡行に参加する山車・屋台の里帰り要請など、祭りの開催までには多くの人の労苦があったようです。

 そして平成26年に山車、屋台の巡行が約80年ぶりに復活しました。火焔太鼓山車は100年ぶりの巡行です。高さ9m近くの山車は折りたためるようになっていて、観客から歓声や拍手を浴びていました。他にも原舟月作の人形山車や益子町に行った彫刻屋台の130年ぶりの里帰りなど、見どころの多いものでした。また、長期計画として他の山車や屋台の復活、山車会館の建設も予定されています。


 失礼ながら宇都宮にこのような祭りがあることを知りませんでした。それでも資料や、絵巻などを見ると、知れば知るほどすごい祭りだと分かります。80年も途絶えてきたものを復活させるのは想像もできないような苦労があったと思います。100年ぶりに復活した火焔太鼓山車などを見ると感動すら覚えます。これからも山車が増えてますます盛大になることを期待します。


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二荒山神社 整列した山車、屋台1
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整列した山車、屋台2 鳳輦
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2014年の映像です。画面をクリックすると動画が見られます(Youtube)。

祭りは10月の最終土、日曜日です。

「宮のにぎわい 山車復活プロジェクト」のサイトはこちらです。

祭りの問い合わせ 「宮のにぎわい 山車復活プロジェクト事務局 電話0282(634)6810」


このページの制作にあたり、山車復活プロジェクト事務局のかたにご協力いただきました。

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